想像力の必要性

  漢字の読めない人がいるとしたら、きっと人々は、その人をあまり本を読んでいない人だと思うでしょう。近頃は、マンガも市民権を持ち、その地位を確立しているので、積極的に否定するつもりはありませんが、漢字の読みの力をつける上では、いわゆる 本 の方が上かもしれません。
 
  では、より想像力を養うものはどちらでしょう。マンガの場合、絵がある分だけ読者は楽ができるのではないでしょうか。場面を・登場人物を・その他もろもろを想像しなくてもすむわけです。後は、流れとか、心情とか、主題を読み取ればよいのです。いわゆる 本 は、そう言うわけにはいきません。まんがでは提示されない部分、たとえば、登場人物の容姿に始まり、内容のほとんどを、自分で作り上げていく必要があります。

  書を読む、読書とは、もとは学習を意味する言葉です。人は、読書という作業を通して、字を学び、モノを考え、そして想像する力を身につけていくのです。読書は人に感動をあたえますが、それは万人が共感できる感動のはずです。個性の時代だからといって、みんなばらばらの感動というのも少々気味が悪いかもしれません。

  近年、世に失言が目立ちます。それらは全く氷山の一角でしょうが、我々自身に、それはないでしょうか。自分の言動が、人にあたえるものを考えることができれば、日本はもう少し住みやすくなるかもしれません。ここに想像力の必要性があります。